bitter sweet

機動警察パトレイバー　遊馬×野明




甘えてばかりの関係ならイラナイ







bitter　sweet

「はぁ…」

何度目のため息だろう。
野明の視線の先には壊れたイングラム。
それを眺めながら、自己嫌悪に陥っていた。普段の太田機に比べれば対した故障でない。
しかし野明のイングラムを大事にする気持ちは半端ではない。

「ごめんね、イングラム…」
榊やシゲ達が慌ただしく一号機の修理に当たっているのを目の当たりにすれば、するほど申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「はぁ…」
重ねた腕に顔を埋めた。

ポスン…

野明の頭に優しく手が置かれた。
顔を見なくても誰だか解る。

「遊馬…ごめんね」
無言でくしゃくしゃと撫でられる。
「俺にも責任はあるから、一人で背負い込むな」
少しだけ顔を上げ、隣の遊馬を見れば、イングラムを真っ直ぐ見つめている。

「バックとフォワードはいつでも一緒…」

野明がポソリと呟く。
遊馬がニヤリと笑って、
「その通り。…さて、昼飯にでもするか。野明は何注文する？」
普段と変わらない遊馬。
だからこそ、有り難い。
ここで優しくされたら野明はきっと甘えてしまうことを自分で解っている。

「もう、そんな時間？…今日はどうしようかな」
いつもと同じ笑顔。
上辺だけかもしれない。
それでもいい。これを糧に前に進んでくれれば。
遊馬は悩んでいる野明を優しい表情で見つめた。



end




甘い関係まであと少し。