雪が降ってきた

悪魔くん＊メフィスト２世×エツ子

雪が降ってきた

「だいぶ遅くなっちゃったな…」


昇降口から出ると、外は既に真っ暗。
当直で片付けとかしていたら、あっという間に時間は過ぎてしまってた。
吐く息が白くて、マフラーに顔を埋めた。
いつからか降り出した雪もうっすらと積もり始めていた。
「早く帰らなきゃ」
学校から家まで走ればさほど時間は掛からない。
少しだけ自分に気合いを入れて、昇降口を飛び出した。
途端――――

「エッちゃん！」
「えっ！？」

聞慣れた声。
見なくても誰だかわかる。
「２世さん」
見上げれば、街灯に照された黒い影。
「一緒に帰ろう」
ヒラリとマントを靡かせて舞い降りると手を差し出した。
「もしかして、待っていてくれたの？」
「…い、今来た所さ！」
なんて言ってるけど、シルクハットにはしっかりと雪が積もっている。
私は耳まで赤く染めた、素直になれない紳士な悪魔のひんやりとした手に手を重ねた。
「ありがとう、メフィスト２世さん」
さっきよりも優しい笑みを浮かべる彼。
２世さんは私を所謂"お姫様抱っこ"で抱き上げると雪が降る夜空へと飛び上がった。
「ちょっと寒いけど、我慢してくれよな」
「うん」
私は２世さんの首に手を回した。