伸ばした分だけ想いが深くなる

悪魔くん＊メフィスト2世×エツ子


伸ばした分だけ
　想いが深くなる

兄の元から彼が去って、どれくらいの月日が経ったかしら―――――


高校生になっても相変わらず兄は悪魔研究をして日々を過ごしている。
私も中学生になって、背も髪も『あの頃』より伸びた。

「結構伸びたなぁ…」
腰とまではいかないけど、伸ばし続けた髪。
いつの日だったか、中途半端に伸びた髪を切るかどうするか悩んでいたら―――

「エッちゃん、髪切るのか？」

鏡の前で髪の毛を上げたり、下げたりしていたら後ろから声がした。
振り向くと、胡座をかいてフワフワと宙に浮かぶ小さな(これは禁句ね)紳士。
彼は私の元に近寄ると、
「きっと長いのも似合うよ、エッちゃんなら」
少し照れた笑顔でそう言い残すと、兄の部屋へと行ってしまった。
ひとり残された私は、ほてった頬に手を当て、鏡の中の自分に話し掛けた。

"伸ばしてみよっか？"



もしかしたら、彼は覚えていないかもしれない。
だけど、私は少しでもメフィスト２世さんに気に入って貰いたくて。
あれから今まで伸ばし続けていた。


「２世さん、似合うって言ってくれるかしら？」